2019年4月6日土曜日

旅行記その86 オラフ王の焚刑祭 (Tending the Flames)








今回はmodではなくスカイリム本体のクエスト。
吟遊詩人の大学のクエストです。
このクエストはTESシリーズの歴史の話でもある。
ちゃんと知っておけばクエストmod等で楽しめるんじゃないか?
といくつかの原作準拠で作られた世界観のmodをプレイした時に思ってプレイ。

本編のクエストなのでCS版やバニラの攻略情報とほぼ同じ内容だと思います。
(セリフや選択肢の修正modを導入しているので細部に違いがあるかもしれません。)

ソリチュードの吟遊詩人の大学に入ると大学長のヴィアルモと会話が始まります。
大学の入学を志願する主人公。
ヴィアルモによると「志願者は大学のための任務を達成すれば受け入れるよ」と言ってきました。
要するにお使いクエストですね。
詳しい事情を聞きましょう。







ヴィアルモの話
大学では「オラフ王の焚刑祭」という祭りを開催していたらしい。
しかし今はエリシフ首長に中止させられている。
エリシフは王様の人形が燃やされている祭りなので気を悪くしたようだ。
おそらく夫の上級王トリグの死を思い起こさせるのでしょう。

大学側としてはエリシフを説得したい。
祭り自体はソリチュードを称えるもので、何世紀も前から行われている。
その証拠になっている『オラフ王の詩歌』を読んで聞かせたい。
詩歌はエッダ詩歌集の中に含まれているはずだが行方がわからない。
歴史学者のジラウドによるとエッダ詩歌集は「死者の安息所」に遺されているはず。
それを探しに行くのが任務のようです。

 エッダ詩歌集というのはスカイリムの元ネタの1つである北欧神話。
 「エッダ=昔の歴史や伝説を伝える詩歌集」という意味なのでちょっと紛らわしい。
 スカイリム英語版字幕でも「the Edda」や「the Poetic Edda」等表記にゆらぎがあります。

ジラウドも大学の人間なのですぐ話が聞けます。
彼は歴史学部長という肩書を誇りに思っているようだ。
TESシリーズの続編で、彼の著作が登場しそうな予感がします。


ジラウドの話
『オラフ王の詩歌』が含まれるエッダ詩歌集は、スカイリムの生きる歴史である。
『オラフ王の詩歌』作者はスヴァクニール。
エッダ詩歌集は各時代の吟遊詩人によって書き綴られてきた。
つまりスヴァクニールは先輩の吟遊詩人ということになります。

『オラフ王の詩歌』はエッダ詩歌集の中で削除された部分らしい。

ジラウドの当初の考えはこうです。
『オラフ王の詩歌』は当時のオラフ王を非難する内容だった。
激怒した王は吟遊詩人を処刑して写本を焼き払った。

しかし彼はいくつかのエッダ詩歌集の翻訳をしていて別の歴史的事実を想定しました。
『オラフ王の詩歌』は、オラフ王が吟遊詩人と結託して真実を埋めたのではないか?

つまり、オラフ王の墓所である「死者の安息所」 に『オラフ王の詩歌』が埋められているはず。
探すのは新人のプレイヤーの仕事です。




死者の安息所
冒険パート。
幽霊が出迎えます。
意地が悪い仕掛けが多い。
王様の墓だから用心深いです。
幽霊はオラフ王なのでしょうか?

追いかけて進んでいくと幽霊が死体の前で待っています。
どうやら幽霊はスヴァクニールの霊体だったらしい。
『オラフ王の詩歌』と彼自身の骸骨がありました。
目的の本はボロボロ。
一部だけしか読めなくなっています。
内容は当初の解釈通りオラフ王を非難している内容です。
場所的にもスヴァクニールは幽閉されたのでしょうか?

再び幽霊についていくと封印を解除して進んでいきます。
扉を開けてついていくと大量のドラウグルと戦闘。

スヴァクニール(幽霊)はオラフ王に向かって叫びます。
「オラフ!時が来たぞ!」
「よみがえれオラフ!我が復讐の時だ!」

怒りで目覚めたオラフ王を倒すとクリア。
ソリチュードに帰ります。


吟遊詩人の大学
ヴィアルモに詩歌を渡します。
墓で入手したものでもあるし原本だと思っていましたが、ヴィアルモは写本だと思ったようです。
ともかく本が読めないのでエリシフを説得できない、祭りは再開できない状態。

ここで主人公は大それた事を提案します。
欠けている部分を作ってしまおう!
ここから好みの選択肢で話を創作していきますが、まずは元の文に集中します。


パート1
オラフは我々の征服者、独眼の裏切り者。
死をもたらす悪魔でドラゴンを殺した王。
お前の伝説は嘘ばかり、それは毒々しい虚偽。
お前は狡猾にヌーミネックスを捕らえた、それは世紀のペテン。

ヴィアルモはおどろきます。

オラフ王は隻眼のオラフだった?
ドラゴンのヌーミネックスを捕らえ、ドラゴンズリーチへ連れて行った話は有名だ。
本当は何が起こったと?

3つの選択肢が出てきますが、最も同意する反応をしたものを選択。
今回のプレイではヴィアルモの反応で詩歌を統一し、そこから解釈を試みます。

「オラフはヌーミネックスと取引した」
なるほど、オラフは王になり、ヌーミネックスは後に逃げた。
完全に ありえる話だ。
宮廷は気に入るに違いない。
書き入れておこう。

メインクエストを進行していると「取引した」というのはあり得る話に思えます。
ドラゴンズリーチのバルグルーフ首長の頭の上には今もヌーミネックスの骨が飾られています。
しかし、「逃げた」という表現は引っかかります。(下で考察)


パート2
オラフは力をつかみ取った、約束と脅迫で。
ファルクリースからウィンターホールドまで人々はひざまずいた。
だが正真正銘、スカイリムを保護する者、ソリチュードは断固としていた。
オラフは即座に報復した、激しく厳しく。

ヴィアルモは疑問を持ちます。

奇妙だな。
歴史によるとソリチュードはウィンターホールドを攻撃したが。
アスゲールはオラフが反撃したと言っているようだ。
何が起こったと?

3つの選択肢が出ます。
ここでも最も同意したものを選択。

「彼はソリチュードを説得してウィンターホールドを攻撃した」
面白くはないが最もありそうな答えだ。
書き入れておこう。

アスゲール(Aesgeir)は誰か分かっていません。
話の流れで考えると、スヴァクニールのファーストネームを呼んでいるように見えます。
つまりアスゲール・スヴァクニールというフルネームだと思えます。
もう1つの疑問。
通説の歴史では「ソリチュードはウィンターホールドを攻撃した」。
手にとっている書物(『オラフ王の詩歌』)では「オラフが反撃した」。
話が矛盾しているのでヴィアルモは「何が起こったんだ?」と疑問に思った。
まとめると、アスゲール・スヴァクニールが「オラフが反撃した」と主張しているように見えます。

 ここはTESシリーズファンの間でも議論があります。
 「USLEEP」ではアスゲール自体を「this」にして話をぼかしています。
 (様々なバグを修正している有名なパッチmodです。)
 特定されていません。他の作品で明らかになるかもしれません。

クエストでやっている事は『オラフ王の詩歌』内での解釈の話です。
歴史的事実はともかくとして、詩歌の主張では「オラフが反撃した」と書かれています。
詩歌の内容に辻褄を合わせる話にする必要があります。
目標は、「悪人オラフ王伝説を信じて、吟遊詩人達はオラフ人形を焼いている」 話にしたい。
そこでヴィアルモが同意したのが「オラフがソリチュードを説得してウィンターホールドを攻撃した」。


ブルーパレス 
一応、詩歌の復元ができたので、エリシフ首長の前で発表します。


エリシフの前で披露
オラフは王になるため取引をし、ヌーミネックスは誰にも語られぬよう口封じをした。

オラフはソリチュードの首長に伝言を送り、戦いを挑むために甘言とあざけり、懇願を用いた。
オラフはウィンターホールドからすべてを伝達し、攻撃の際にはどこにも姿を現さなかった。

なお、どれを選択してもエリシフは絶賛して成功になります。
「ソリチュードを賛美して虚偽の王を非難するものだわ」と言ってくれます。
虚偽の王ウルフリック・ストームクロークを非難する比喩になったから成功!という事です。
エリシフは「毎週恒例の行事にしなさい!」と積極的になっています。

ご褒美と大学入学とオラフ王の焚刑祭再開でハッピーエンド。
ソリチュードの人たちに感謝されます。





考察
オラフ王とは何だったのか?
まずは冒険パートで分かった考古学的事実。
『オラフ王の詩歌』の作者スヴァクニールはオラフ王の墓所に幽閉されていました。
彼は死ぬまで自作の詩歌を手放さずに亡くなりました。
一部しか判読出来ないですが、真実を後世に残しました。
幽霊として蘇ってもオラフ王を恨んでいます。
歴史学者のジラウドは「オラフ王とスヴァクニールは結託して真実を埋めた」と新説を主張しましたが、それは間違っていました。

『オラフとドラゴン』 というゲーム内書物があります。
隻眼のオラフがヌーミネックスを捕まえた伝承と、スヴァクニールへの批判、そして詩歌を破棄した事まで書かれています。
「上級王は激怒し、反抗的な吟遊詩人を監獄に閉じ込め、その詩の複写をすべて処分してしまった」
少なくともこの一節は冒険パートで事実であったことが確認できました。


次に伝承。
隻眼のオラフはドラゴンズリーチでドラゴンを捕まえた英雄。
しかし詩歌を穴埋めした時に「捕まえた」のではなく「取引した」とすると辻褄が合うそうです(ヴィアルモ)。
その功績でオラフは王になり後にヌーミネックスは逃げた、という解釈になります。

しかしちょっとおかしい。
ヌーミネックスの骨は今でもドラゴンズリーチの首長の頭の上に飾られています。
スヴァクニールの詩歌で「世紀のペテン」とオラフ王を断罪しているのは事実です。
骨の存在と、スヴァクニールの非難が噛み合わない。
骨は別のドラゴンやレプリカなのでしょうか?
最初にヴィアルモが驚いた箇所にも疑問があります。
オラフ王=隻眼のオラフ、という所で驚いていたからです。
通説ではそもそも別人だと考えられていた可能性があります。
『オラフとドラゴン』はこのクエストの予備知識としての本のためか、曖昧な情報が多いです。
分かることは、「オラフ王伝説には諸説ある」状態が確認できる程度です。
スヴァクニールがオラフ王への中傷のために創作した可能性についても触れているのは重要な点です。
幽霊達から分かることも、吟遊詩人のオラフ王への憎しみと、目覚めたオラフ王の吟遊詩人への怒りだけでした。
事情は分からないが、仲が悪い雰囲気は分かる、という感じでした。

まとめるとするならば、ゲーム内ではオラフ王の真実は謎のまま持ち越し、謎を復元する試みをクエストとして遊ぶ、という所に主眼が置かれているように思います。


感想
今回はスカイリム世界の理解を深めるために詳しく見てきました。
しかし大局的な視点から言えば、歴史の謎を解く、という事はあまり問題ではなかったように思います。
重要なのはエリシフ首長の気分を変える事。
夫である上級王トリグを非難するための人形に見えていた祭りから、虚偽の王ウルフリックを非難するための人形に見える祭りに変化させる。
それさえ達成できれば過程(=考察)はどうでもいい話だった。
たとえオラフがヌーミネックスであってもソリチュードの宮廷や吟遊詩人の大学にとって問題ではなかった。
話が面白ければ、オラフ王と隻眼のオラフが別人でも同一人物でもいい。
つまり歴史伝承を語り継ぐのが役目の吟遊詩人ですら歴史的事実は二の次だった、というシニカルな視点が結論なのかもしれません。 
こまけえ事はいいんだ!とにかく祭りがしてえ!というノルド的気質の話(ヴィアルモはアルトマーですが)でした。







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